ラ・グランド・コリーヌ(大岡弘武) ヌーヴォー 2016年で最後となります。

当店が、ずーっと応援してきたワインが、ひとつ 終わりを迎えるにあたり 
内容の性格上 そのまま ご覧頂きたいと思います。


<大岡さんより皆様へ>

新酒を楽しみに待っていただいているお客様へ
いつもグランドコリーヌのワインをご愛飲いただき誠にありがとうございます。

私がフランスに渡ってから早いもので20年が経ちました。お陰様で私たちのワインは世界各国でご好評を頂き、作り始めた当初に比べ自然派ワインが確実に浸透していっていることをとても嬉しく思います。
フランスという恵まれた土地でワインを作っている私は、ここでは美味しいワインができて当然だと、常に思っておりました。

葡萄栽培に適した気候、その土地に合った葡萄品種、その葡萄を生かす醸造法が、何千年にわたって研究され続けているからです。

残念ながら、近代農法、近代醸造は違う道を選んでしまいましたが。
雨が多く湿度が高い、さらに梅雨と台風がある日本において、葡萄農家の皆様はさぞかしご苦労をなさっているのだろうと思っています。

私はフランスで楽をしていて申し訳ないと思う気持ちが常にありました。
自分で開墾し、植えた葡萄で作ったコルナスが今年で6回目の収穫を迎えます。瓶詰し終わったワインも、今、樽で熟成中のワインも満足いくものができました。15年前にコルナスの土地を購入したことから始まった私のワインづくりは、当初の目的であるコルナスを作るという目標にやっと到達できました。 
そして、今、新たな目標に向かってさらにチャレンジをしようと決心しました。

自分の生まれ育った国、日本で自然派ワインを作ろうと。私がどのようなワインを作れるかは、やってみないとわかりません。

20年間フランスで得た知識と経験を最大限に活用し、日本の自然派ワインの発展に少しでも貢献できるよう努力してまいります。
  
2017年からグランドコリーヌは新しい一歩を踏み出します。
私はこれからフランスと日本を行き来することになります。フランスの畑は、2009年度の元研修生で2015年から一緒に仕事をしている栽培長が、私が留守の間も引き続き面倒を見てくれます。日本ではこれから山を開墾し、葡萄を植えていきます。
 
葡萄ができるまで3~4年はかかりますので、それまでは元研修生が作っている有機葡萄で、ワインを作る予定です。
ワインづくりに終わりはありません。さらに美味しいものをつくるためにより一層の努力をしていきます。 
そのために、私の目と手が行き届かなくなってしまう恐れがあるので、2016年を新酒の最後の年にすることを決めました。
 
新酒はほかのワインの醸造中に(へたをすると収穫中に)プレス、瓶詰などの作業をしなくてはいけないので、時間的な制限がとても多いのです。その年の特徴を伝えられるようなワインをいち早く皆様に良い状態でお届けしたい、しかも手を加えず亜硫酸ゼロでと、2006年から作ってまいりました。
今までいくつかのトラブルがありましたが、これまで温かいお気持ちで私たちの新酒を楽しんで頂き、誠にありがとうございました。

2016年を新酒最後の年としまして、このワインを皆様に満足頂けるようなものにするように頑張ります。

以下、現在までの2016年ヴィンテージ情報になります。
2016年は暖冬の影響で例年より早い芽吹きでした。しかしながら春はうってかわって寒く、雨ばかり続きまして、洪水のニュースは日本でも流れたことと思います。
さらにフランス各地で霜の被害、雹の被害などがありましたが
私のところは軽い雹の被害があっただけで済みました。被害にあった生産者のことを思うと胸が痛いです。
 
雨が多いため葡萄の成長も早く、病気も発生し、仕事がとても多い年です。このままだとかなり厳しい年になると覚悟をしていましたが、幸い二週間ほど前から一気に天候が変わり乾燥した猛暑となりました。

あとはこの天気が続くことを祈るだけです。
美味しい新酒をお届けできるように頑張ります。
         
2016年7月吉日 
大岡 弘武